庁内のファイルサーバーが容量いっぱいで、職員が「何を消せばいいかわからない」と困っている。部署をまたいで資料を共有するのにメールの添付ファイルを使い続けている。テレワーク時には庁内 VPN 経由でないとファイルにアクセスできない。こうした状況に置かれている自治体は少なくありません。
自治体が扱うファイルの種類
地方公共団体の業務では、多種多様なデジタルファイルが日々生まれます。
公文書・行政文書
- 起案文書・決裁文書 — 条例改正案、予算要求書、業務委託契約書など、電子決裁システムで処理されたあとも長期保管が必要な文書
- 議事録・会議資料 — 議会、委員会、庁内会議の議事録と配布資料。会議開催のたびに増える
- 申請書類・届出書類 — 住民から受け付けた各種申請書のスキャンデータや電子申請データ
設計図・施設管理資料
- 建築設計図・CAD データ — 公共施設や道路の設計図面。数十MB〜数GBの大容量ファイルが多い
- 施設点検記録 — 学校、公民館、橋梁などの定期点検写真と報告書
- 工事写真 — 公共工事の施工前・施工中・完成写真。大量の JPEG ファイルが工事ごとに蓄積する
広報・住民サービス関連
- 広報紙の原稿・デザインデータ — 毎月発行する広報誌の InDesign データや高解像度 PDF
- イベント写真・動画 — 地域イベント、成人式、防災訓練の記録写真・映像
- プレスリリース・報道資料 — 記者発表用の資料や添付画像
ファイルサーバー運用の課題
容量管理の負担
Windowsファイルサーバーは物理的な容量に上限があります。容量が逼迫するたびに「不要ファイルの棚卸し」を職員に依頼しなければならず、IT 担当者にとって定期的な負担になります。容量増設は機器更新を伴うため、予算化から導入まで時間がかかります。
部署をまたぐ共有の煩雑さ
Windowsファイルサーバーのアクセス権は Active Directory と連携したフォルダ単位の設定が基本です。「この文書だけ〇〇課と共有したい」という細かい要求に対応しようとすると、管理者の作業量が増えます。部署をまたぐ共有には結局メールの添付ファイルが使われ続け、最新版がどこにあるかわからなくなるという問題が繰り返されます。
テレワーク・在宅勤務への対応
コロナ禍を機にテレワークを導入した自治体では、庁外から庁内ファイルサーバーにアクセスするために VPN を整備しました。しかし VPN の同時接続数の上限や速度の問題から、大量のファイルを扱う業務では使い勝手が悪いという声も出ています。
自治体のセキュリティ要件

総務省セキュリティガイドラインの動向
総務省「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」は2026年3月に改定されました。セキュリティ対策は従来の「努力義務」から「法的義務」に格上げされ、資産の可視化と体系的なリスク管理への対応が義務化されています。
三層分離からα’モデルへ
長年、自治体の情報システムは「三層分離」と呼ばれるネットワーク構成を取ってきました。マイナンバー利用事務系・LGWAN 接続系・インターネット接続系を物理的に分離する構成です。ただし、この構成ではクラウドサービスを庁内業務で使いにくいという問題がありました。
現在は、LGWAN 接続系に「ローカルブレイクアウト(LBO)」を設けて特定のクラウドサービスへの直接接続を許可する「α’モデル」への移行が進んでいます。α’モデルでは既存のネットワーク構成を大きく変えずに済むため、β/β’モデルよりも移行コストを抑えられる点が評価されています。
α’モデルでクラウドストレージを利用する場合、接続先の限定、ファイル無害化、通信ログの管理、アクセス制御の整備が前提になります。サービス選定では ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)登録サービスか、同等の基準を満たすものを対象とします。
クラウドストレージで解決できること

容量の柔軟な拡張
クラウドストレージはストレージ容量をソフトウェア的に追加できます。機器の増設工事や予算化の時間を待たずに、必要なタイミングで容量を増やせます。工事写真や設計図面の蓄積で容量が増え続けても、管理者が都度対応する手間は大幅に減ります。
細かなアクセス権の設定
フォルダ・ファイル単位でアクセス権を設定できます。「〇〇課の職員は閲覧のみ可能、担当係長以上は編集可能、外部委託業者は特定フォルダのみダウンロード可能」といった制御も実現できます。
HStorage では、フォルダに対して複数のユーザーやグループを割り当て、閲覧・ダウンロード・アップロード・管理の権限を個別に設定できます。従来のファイルサーバーに近いアクセス制御を、クラウド上で再現できます。
共有リンクによる外部向け配布
業者や委託先に資料を渡す場合、VPN アカウントを発行する必要はありません。有効期限・ダウンロード回数制限・パスワードを設定した共有リンクを発行するだけで済みます。期限が切れれば自動的にアクセスできなくなるため、不要なアクセス権の放置を防げます。
監査ログの確認
誰がいつどのファイルにアクセスしたかのログを記録・確認できます。情報漏洩インシデントが発生した際の調査、内部監査への対応、職員の退職時のデータ持ち出し確認に使えます。ログの証跡を残す仕組みは、総務省ガイドラインが求める「資産の可視化と体系的なリスク管理」の一部を担います。
WebDAVによるネットワークドライブとしての利用
HStorage は WebDAV に対応しているため、Windows のネットワークドライブ、Mac の Finder からファイルサーバーと同じ感覚でマウントできます。既存の操作習慣を変えずにクラウドストレージに移行できるため、職員向けの操作研修コストを抑えられます。
フォルダ構成の例
自治体でHStorageを使う場合、以下のようなフォルダ構成が実用的です。
📁 庁内共有/
📁 総務課/
📁 条例・規則/
📁 会議資料/
📁 建設課/
📁 設計図面/
📁 2026年度/
📁 工事写真/
📁 広報課/
📁 広報紙データ/
📁 イベント写真/
📁 委託業者共有/
📁 〇〇工事(令和8年度)/
📁 □□点検業務/
📁 アーカイブ/
📁 2024年度/
📁 2025年度/
委託業者共有フォルダは、担当職員と当該業者のみがアクセスできるよう権限を絞ります。契約期間終了後にフォルダのアクセス権を削除または業者アカウントを無効化するだけで、情報の外部流出リスクを遮断できます。
導入時のポイント
段階的な移行
新規プロジェクトや新設部署から始めて、対象範囲を少しずつ広げる移行が現実的です。既存のファイルサーバーと並行して運用しながら、職員が慣れてきたタイミングで切り替えます。
命名規則と保存ルールの整備
クラウドに移行してもファイル名がバラバラでは検索しにくいままです。移行のタイミングで「年度フォルダ、担当課フォルダ、ファイル名に日付を含める」といった命名規則を整備しておくと、後から探しやすくなります。
保存期間と廃棄管理
行政文書には法令や条例で保存年限が定められています。クラウドストレージへの移行時には、ファイルの保存期限を管理する仕組みも合わせて検討してください。HStorage の削除日設定機能を活用すれば、保存期限に合わせた自動削除のワークフローを構築できます。
ファイルサーバーの老朽化・容量問題・テレワーク対応は、自治体で重なって起きやすい問題です。クラウドストレージへの移行は、これらをまとめて整理する現実的な選択肢です。セキュリティ要件を満たした上で、職員の操作習慣を変えずに使える仕組みを選ぶと、現場の定着が早くなります。HStorageの14日間無料トライアルで、実際の使い勝手を確認してください。