運動会の写真が数百枚たまっても、USBで配布するには時間がかかる。職員室のパソコンにしか保育記録が入っておらず、別の保育士が確認できない。保護者にシェアしようにも、メールに添付できるサイズには限界がある。保育現場でこうしたファイル管理の悩みは珍しくありません。

保育DXの現状

こども家庭庁は2025年度中に保育所等のICT導入率100%を達成するロードマップを示しました。2026年度以降は給付・監査・保活のオンライン化を全国展開する予定で、保育施設と自治体の業務システム間のデータ連携が前提となります。

ICT化の波は登降園管理や連絡帳のデジタル化から始まっています。ただ、写真や動画、保育記録、指導計画書といった大容量ファイルの管理は、多機能な保育ICTシステムよりもクラウドストレージが向いているケースがあります。目的に応じて使い分けることで、コストを抑えながら職員の負担を減らせます。


保育園が扱うファイルの種類

子どもの写真・動画

日常の保育風景、運動会、生活発表会、遠足。行事のたびにカメラロールが埋まります。1回の行事で数百枚になることもめずらしくなく、撮影後の整理・選別・配布に職員が数時間かけるケースも多いです。

子どもの顔写真はとりわけ扱いに注意が必要です。こども家庭庁は保育所等のホームページへの子ども画像掲載について注意喚起を出しており、不特定多数が閲覧できる状態に置くことは問題があるとしています。クラウドに保存するときも、閲覧範囲の制限は外せません。

保育記録・指導計画

日誌、児童票、発達記録、個別支援計画書。法令で保存期間が定められているものも多く、整理しながら長期保管する仕組みが必要です。紙からデータに移行すると、特定の子どもの記録をすぐに引き出せる点が実用的です。

保護者向け資料

月間行事予定、給食献立表、年間指導計画、各種お知らせ。毎月・毎学期ごとに新しいファイルが増え、最新版がどこにあるか把握しにくくなりがちです。

職員間の共有資料

研修資料、会議議事録、マニュアル類。担任が保育室でも事務室でも同じ資料にアクセスできる環境を整えると、引き継ぎやシフト変更時の混乱が減ります。


個人情報保護法との関係

子どもの情報は「要配慮個人情報」に準じる

氏名・写真・健康状態・発達状況・家庭状況は個人情報保護法の対象です。保育園が外部のクラウドサービスを使って子どもや保護者の個人情報を管理する場合、入園時に利用目的を明示した上で同意を取得しなければなりません。

クラウドサービスを「委託先」として位置づける場合、安全管理措置が講じられているサービスを選定し、適切な監督を行う義務が生じます。2022年施行の改正個人情報保護法では、個人データの漏洩が発生または発生したおそれがある場合に個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務化されました。

求められるセキュリティ要件

  • アカウントごとのアクセス権限設定(担任のみ閲覧可・保護者は特定フォルダのみなど)
  • 通信の暗号化(SSL/TLS)
  • 多要素認証またはパスワードの複雑性確保
  • アクセスログの記録と定期確認
  • 不要になったアカウントの速やかな削除

クラウドストレージで解決できること

保育士がクラウドストレージのインターフェースで子ども写真や保育記録を整理・管理している場面

保護者への写真配布

パスワード付きの共有リンクを発行すれば、その組のご家族だけが写真フォルダにアクセスできます。ダウンロード期限を設定しておけば、古いリンクが使い続けられる心配がなくなります。USB配布・プリント注文のどちらよりも手間が減り、保護者側もスマートフォンからすぐ確認できます。

HStorageでは有効期限・ダウンロード回数・パスワードをまとめて設定した共有リンクを作成できます。「卒園アルバム用写真を年度末まで公開」「運動会の速報写真を1週間だけ共有」といった使い方が可能です。

職員間のファイル共有

WebDAV対応のクラウドストレージをWindowsのネットワークドライブや MacのFinderにマウントすると、ローカルフォルダと同じ感覚で使えます。保育室のタブレットから日常写真をアップロードし、事務室のパソコンで保護者向け資料の作成に使う、といったワークフローが組めます。

バックアップと復元

パソコンの故障やウイルス感染で保育記録が消えるリスクを下げられます。クラウドストレージは複数のデータセンターで自動バックアップする仕組みが基本です。誤って削除したファイルも、バージョン履歴から復元できます。


アクセス権の設計

保育施設向けクラウドストレージのセキュリティ構成:子ども写真フォルダへのアクセス制御と保護者・職員の権限分離を示す図

保育園でクラウドストレージを使う際、アクセス権設計が最も重要な作業です。個人情報の性質上、「全員が全部見える」状態はNGです。

📁 保育記録/
  📁 りんご組/    ← りんご組担任のみ閲覧・編集可
  📁 もも組/      ← もも組担任のみ閲覧・編集可
  📁 主任確認済み/ ← 主任・園長のみ閲覧可
📁 行事写真/
  📁 2026年度/
    📁 運動会/     ← 職員全員閲覧可(選別後)
    📁 生活発表会/
📁 保護者共有/   ← 共有リンク経由のみ(クラウド直接アクセス不可)
📁 職員共有/
  📁 研修資料/
  📁 会議議事録/
📁 事務/
  📁 契約書類/     ← 園長・主任のみ
  📁 行政提出書類/

保護者への写真は「保護者共有」フォルダに選別済みの写真を置き、フォルダへの直接アクセスは全員に禁止した上で共有リンクだけを保護者に送る運用が安全です。フォルダに直接URLでアクセスされるリスクを防げます。


導入時のポイント

既存ファイルの整理から始める

クラウドに移行する前に、保存フォルダの棚卸しをしておくと後が楽です。「誰が作ったかわからないファイル」「同じ名前で複数バージョンがあるファイル」を整理してから移行すると、クラウドに混乱を持ち込まずに済みます。

命名規則を決める

「運動会写真(最終).pdf」「運動会写真(最終)最終確定版.pdf」といった状態を防ぐため、ファイル名に日付や担当者を含めるルールを先に決めておきます。保育士の入れ替わりが多い職場でも、ルールがあれば引き継ぎしやすくなります。

退職職員のアカウント管理

退職した保育士のクラウドアカウントを残しておくと、意図しない形でデータにアクセスされるリスクが残ります。退職時にはアカウント無効化・削除を手順書に組み込んでおきます。


写真の配布、保育記録の共有、保護者対応の手間をまとめて減らしながら、子どもの個人情報を適切に管理する仕組みを整えたい保育施設には、クラウドストレージが選択肢になります。HStorageの14日間無料トライアルで実際の操作感を確かめてみてください。