2026年7月1日、Microsoft 365 の商用ライセンス料金が改定されます。Business Standard は月額 ¥1,874 から ¥2,099 へ。50名規模の企業では年間で約 13万円の負担増です。この値上げを機に「OneDrive を使い続けるべきか」を検討している担当者に向け、乗り換えの判断基準を整理しました。
Microsoft 365 値上げの内訳
Microsoftが発表した2026年7月からの価格改定です。
| プラン | 現行価格 | 新価格 | 変動 |
|---|---|---|---|
| Business Basic | ¥899/月 | ¥1,049/月 | +16.7% |
| Business Standard | ¥1,874/月 | ¥2,099/月 | +12.0% |
| Business Premium | ¥3,298/月 | ¥3,548/月 | +7.6% |
| E3 | ¥5,197/月 | ¥5,597/月 | +7.7% |
Microsoftは理由として AI 機能(Copilot Chat)の統合とセキュリティ強化を挙げています。ただし、ファイルストレージとしての OneDrive の機能自体に大きな変更はありません。「AI 機能は使わないがストレージだけ必要」という企業には、コストに見合う変化は乏しいです。
OneDrive の3つの問題点
1. 意図しない自動同期
Windows 11 バージョン 24H2 以降、初期セットアップ時に「このPCにのみファイルを保存する」オプションが削除されました。Microsoftアカウントでサインインするだけで、デスクトップ・ドキュメント・ピクチャーフォルダの自動バックアップが有効になります。
ユーザーが気づかないまま機密文書がクラウドに上がった事例は、知恵袋やSNSで多数報告されています。法人 PC で担当者が個人の Microsoft アカウントで誤ってサインインすると、機密情報が個人クラウドに同期されます。
2. データの所在と法的リスク
OneDrive のデータは Microsoft のグローバルインフラに保存されます。米国 CLOUD Act(クラウド法)により、Microsoft は米国政府から日本国内のデータに対しても開示要求を受け得る立場にあります。金融・医療・官公庁向けのシステムや、個人情報保護法の厳格な運用が求められる企業では、このリスクを問題視するケースが増えています。
3. Office 機能を使わない場合のコスト
OneDrive だけを目的に Microsoft 365 を契約している場合、割高です。Business Basic(¥1,049/月)で得られるのは 1TB のストレージと Web 版 Office の限定機能です。純粋にストレージとして使うなら、他のサービスと比較する価値があります。
乗り換え先の選択肢
国産クラウドストレージ(HStorage)
HStorage は国内データセンターのみで運用される国産クラウドストレージです。主な特徴です。
- 容量課金: ユーザー数ではなくストレージ容量で課金するため、人数が増えても料金が上がらない
- プロトコル対応: WebDAV・SFTP・S3互換 API に対応。既存ツール(rclone、Cyberduck、Windows ネットワークドライブ)からそのまま使える
- セキュリティ: 二要素認証、IPアドレス制限、パスワード付き共有リンク、ダウンロード回数制限に標準対応
- データ主権: データは国内に留まり、海外法律による強制開示リスクを排除できる

移行時の実際のコスト差
50名の企業で全員 Business Standard を使っている場合、現行コストは月額 ¥93,700(¥1,874 × 50)です。7月以降は ¥104,950 となり、年間で約 ¥134,400 の増加です。
Excel・Word・PowerPoint を実際に使っているユーザーと、ファイルの保存・共有だけに使っているユーザーが混在している企業では、後者をストレージ専用プランへ移行するだけで固定費を圧縮できます。
移行手順
ステップ1: 現状の棚卸し
OneDrive の管理センターでユーザーごとの使用容量を確認します。実際に使われていないアカウントを洗い出し、移行対象を絞り込みます。
ステップ2: rclone で一括転送
rclone は OneDrive と WebDAV の両方に対応しています。以下のコマンドで OneDrive の全データを HStorage の WebDAV エンドポイントへコピーできます。
rclone copy onedrive:/ webdav:/ --transfers=8 --progress
大量のファイルがある場合は --transfers の値を調整し、転送速度を制御します。
ステップ3: 共有リンクの再設定
OneDrive の共有リンクは移行先では引き継げません。外部と共有しているファイルの URL を洗い出し、HStorage の共有リンクに差し替えます。HStorage の共有リンクにはパスワードと有効期限を設定できるため、この機会にセキュリティポリシーを見直すことも検討してください。
ステップ4: Windows ネットワークドライブとして接続
HStorage の WebDAV エンドポイントを Windows のネットワークドライブとして割り当てることで、ユーザーはエクスプローラーから透過的にアクセスできます。OneDrive クライアントのアンインストール前に動作確認を完了しておくと移行時のトラブルを防げます。

OneDrive を使い続けるべきケース
OneDrive が合理的な選択肢であり続けるのは以下のケースです。
- Word・Excel・PowerPoint の共同編集を頻繁に使う: リアルタイム共同編集は Microsoft の強みです。代替は容易ではありません
- Microsoft Teams をフル活用している: Teams との統合はシームレスで、ファイルの共有・バージョン管理が一体化されています
- Active Directory・Entra ID との統合が必要: 大規模組織での権限管理は Microsoft エコシステムが成熟しています
これらに当てはまらない中小企業や、Office アプリを限定的にしか使わないチームにとっては、7月の値上げは乗り換えを検討する十分な理由になります。
まとめ
2026年7月の Microsoft 365 値上げは平均 10% 前後の負担増です。OneDrive を純粋なストレージとして使っているなら、国産クラウドストレージへの移行でコストを下げながらデータ主権とセキュリティを強化できます。移行の技術的なハードルは rclone を使えば数時間で越えられます。
HStorage の料金プランや機能詳細は公式サイトで確認できます。30日間の無料トライアルを利用して、移行前に実際の使い勝手を確かめてください。