ホテルのフロントスタッフが「あの写真、どこに保存したっけ?」とExcelのファイル一覧を遡る。旅館の総務担当者が「先月のシフト表を送ってほしい」という電話に、USB持参で本館まで向かう。宿泊業界では、こうした光景がまだ珍しくありません。
ホテル・旅館が抱えるファイル管理の実態

写真・動画が膨大なのに、管理が属人的
ホテルや旅館が日常的に扱うファイルの中で、特に容量を圧迫するのが写真と動画です。客室ごとの宣伝用写真、季節ごとに撮り直す料理写真、館内設備の紹介動画、フロント用の接客マニュアル動画——これらが担当者のPCやNASに散在しているケースは多い。
東急ホテルズ&リゾーツが導入した事例では、70施設の広報画像・動画が16万点を超えていたことが報告されています。担当者が退職した途端に「あのデータがどこにあるか分からない」という事態が起きる施設は、チェーンホテルでも地方の旅館でも変わりません。
本館・別館・本社の3拠点でファイルが分散
旅館に多い構造として、本館・別館・土産物店が離れた場所にある場合、それぞれの拠点でローカル保存が続いています。「本館の仕入れ担当が作った在庫表を、別館のレストランスタッフが見たいが共有フォルダにアクセスできない」という声は、実際の現場から出てきます。
中小旅館のDX推進調査(JTB総合研究所、2025年)によると、PMSを導入している施設の約6割が「導入したものの使いこなせていない」と回答しています。ファイル共有の課題はDX全体の底上げを妨げている要因のひとつです。
法的な保管義務のある書類が紙で眠っている
宿泊業には法的な書類保管義務があります。宿帳(宿泊者名簿)は旅館業法上3年間の保存義務があり、労働基準法に基づく給与台帳や勤怠記録も保管が必要です。電子帳簿保存法の改正で電子データでの保存が可能になりましたが、「スキャンしてどこかのフォルダに入れる」だけでは後から検索できず、保存したこと自体を忘れる施設がほとんどです。
クラウドストレージで解決できる5つの課題
1. OTA・予約サイト向け写真の一元管理
楽天トラベル、じゃらん、Booking.com——複数のOTAに登録している施設は、それぞれのプラットフォームに同じ写真をアップロードする手間が生じます。写真をクラウドストレージに集約しておけば、担当者が変わっても「最新のハイシーズン写真」をすぐに参照できます。宿泊施設向け写真管理ツール「Byme」の事例では、写真更新の作業時間が約3分の1に削減されたと報告されています。
HStorageのWebDAV接続を使えば、ローカルのドライブと同じ感覚でクラウドフォルダにアクセスできます。「客室写真」「料理写真」「館内設備」といったフォルダ構成をチーム内で統一し、撮影日付をファイル名に入れるルールを設けるだけで、「誰かのPC」に依存した管理から抜け出せます。
2. スタッフマニュアル・教育資料の共有
新人スタッフへの接客マニュアル、清掃手順書、緊急時対応フロー——これらのPDFや動画ファイルをクラウドに置けば、フロント・客室・レストランの各担当者がスマホからすぐに確認できます。担当者によって対応が変わる、という問題を減らすことに直結します。
特に旅館では、季節ごとに変わる料理や行事の対応マニュアルが存在します。「最新版はどれか」が曖昧になりやすいため、クラウドストレージで「マニュアル/2026年夏季版/」といったフォルダ構造で管理し、古いバージョンはアーカイブフォルダに移動するルールを設けると、誤った手順書を参照するリスクを減らせます。
3. 客室・設備の点検記録の保存
客室の設備不具合、エアコンの修理履歴、害虫駆除の記録——これらは後でトラブルが起きた際の証拠にもなる書類です。担当者のスマホで撮った写真が共有されずに消えていく施設は、まだ多くあります。
HStorageのスマートフォンアプリを使えば、現場で撮影した写真を即座にクラウドの指定フォルダへアップロードできます。日付・場所・担当者名を含むフォルダ名でアーカイブしておけば、後から「203号室のエアコン交換の記録」を30秒で見つけられます。
4. 個人情報(宿泊者データ)の安全な保管
宿泊者名簿には氏名・住所・連絡先が含まれます。これらを扱うファイルは、誰でもアクセスできる共有フォルダに置くべきではありません。クラウドストレージのアクセス権限機能を使い、総務担当者のみが閲覧できるフォルダと、フロントスタッフ全員が使える素材フォルダを分けて管理することで、不必要な個人情報へのアクセスを防げます。
HStorageはアクセスログを記録しているため、「いつ誰がどのファイルを開いたか」を確認できます。外部への情報漏洩が疑われる場面でも、調査の根拠となるログを参照できます。
5. 外部業者・デザイン会社との素材共有
ホテルのウェブサイトリニューアルやパンフレット制作で、デザイン会社に写真や動画素材を渡すシーンはよく起きます。大容量ファイルをメールに添付するのは限界があり、個人向けのファイル転送サービスではセキュリティ面が不安という声もあります。
HStorageの共有リンク機能では、有効期限とダウンロード回数の上限を設定したリンクを生成できます。「3日間有効・3回まで」という条件で渡せるため、目的の受け渡しが終わった後も同じリンクが使われ続ける状況を防げます。
実際の導入ステップ

Step 1:フォルダ構成を設計する
クラウドストレージへの移行で最初に躓くのが「フォルダ構成を誰が決めるか」という問題です。移行先でもフォルダ名がバラバラになると、同じ問題が繰り返されます。
宿泊業向けの基本構成として以下が参考になります。
/素材・写真
/客室写真/[年度]/[客室番号]
/料理写真/[年度]/[季節]
/館内設備
/業務マニュアル
/フロント業務
/客室・清掃
/レストラン
/法定保存書類
/宿泊者名簿/[年月]
/給与・勤怠
/社内共有資料
/スタッフ向け通知
/シフト表/[年月]
権限設定のルールも同時に決めてください。「管理者:オーナー・総務」「一般スタッフ:業務マニュアルと社内共有資料のみ閲覧可能」「法定保存書類:管理者のみ」といった区分が基本です。
Step 2:既存ファイルの棚卸しと移行
現在、社内のどこに何が保存されているかを洗い出します。担当者のPCローカル、共有NAS、個人的なクラウドサービス——それぞれのファイルを整理してから移行する作業です。
完璧を目指すと移行が止まります。「まずフロントが日常的に使う業務マニュアルだけ移行する」という小さな単位で始めるほうが、現場の混乱を最小限に抑えられます。
Step 3:スタッフへのルール共有
ファイルの保存ルール(命名規則・フォルダ位置)を1枚の資料にまとめ、全スタッフに周知します。ルールを知らないスタッフが「とりあえずデスクトップ」に保存し始めると、移行の意味が薄れます。
新しいファイルを追加したときにSlackや社内チャットで通知する仕組みを作ると、「更新に気づかなかった」という問題を減らせます。
HStorageが宿泊業に向いている理由
HStorageは国内のデータセンターで運用されており、個人情報を含むファイルの管理において、データが国外に出ることを避けたいという施設のニーズに対応できます。WebDAV・SFTP・S3互換APIといった複数の接続方式をサポートしているため、既存のPMSやバックオフィスシステムとの連携も検討できます。
ストレージ容量は必要に応じて追加できるため、繁忙期に写真・動画が急増しても容量不足で業務が止まる心配がありません。アクセスログ、共有リンクの期限管理、フォルダ単位のアクセス権限設定といった機能が標準で備わっています。
PMSや予約システムを入れても、肝心のファイルが各自のPCに散らばっていれば、デジタル化は形だけです。日常業務のファイル管理という土台を整えることで、PMSのデータが初めて生きてきます。
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