介護施設の事務室には、バインダーが並んでいることが多い。入居者の記録、シフト表、各種申請書——それをスキャンしてNASに入れたはいいが、サーバーの保守期限が来て担当者が慌てる。これが、全国23万件以上の介護・福祉施設が共通して抱える問題だ。
2025年度の介護給付費は15兆円規模に達し、要介護・要支援の認定者は約749万人。施設数と利用者数が増えるほど、データの量も増え、管理コストは上がる。政府のデジタル化推進の掛け声とは裏腹に、現場では紙とローカルNASが混在したまま運営している施設も少なくない。
クラウドストレージは、この状況を変える現実的な手段だ。本記事では、介護・福祉施設がクラウドストレージを導入する際のポイントと、HStorageが提供する機能を具体的に紹介する。
介護施設が抱えるデータ管理の課題
NASの保守コストと運用負担
介護施設の多くは、施設内NASでデータを管理してきた。保守費用は年間で数十万円になるケースもあり、ハードウェアの交換時期が来るたびに予算と人手が取られる。複数拠点を持つ法人であれば、各施設にNASを置いて管理者が手動でバックアップを取るという運用が続いていることも珍しくない。
障害が起きたとき、データを取り出せるかどうかが不透明なのも問題だ。バックアップが機能していなかった、古いNASの中身を誰も確認していなかった——現場でよく聞く話だ。
紙ベースの記録とファイル共有の手間
介護記録を紙で管理している施設では、別フロアの職員が同じ記録を参照しようとすると、物理的にそのファイルを取りに行くしかない。夜勤帯のスタッフが申し送りを確認するたびにナースステーションのファイルを開く——これが日常の業務フローになっている。
写真や動画のデータも同様だ。入居者の状態変化を記録した写真、リハビリの様子を撮影した動画ファイルが、スマートフォンの中に入ったままだったり、LINEで共有されていたりするケースがある。個人情報が私物のデバイスを通じて流通する状況は、セキュリティ上のリスクになる。
クラウドストレージが解決すること

ハードウェアの保守から解放される
クラウドストレージに移行すれば、NASの購入・保守・リプレイスを考えなくてよくなる。データの冗長化はクラウド側が担うため、「バックアップが取れていたかどうか」という不安がなくなる。サーバーが壊れた翌朝に全データが消えるリスクも、クラウドであれば大幅に低減できる。
月額コストは透明で、使った容量に応じて請求される。NASのように5年後に大きな買い替え費用が発生することもない。
多拠点・多職種での情報共有がシンプルになる
グループホームや特別養護老人ホームを複数運営している法人では、施設間でファイルを共有する機会が日常的にある。クラウドストレージであれば、どの施設からでも同じデータにアクセスできる。
ケアマネジャー、看護師、介護士、相談員——職種ごとにアクセス権を分けることも可能だ。特定のフォルダは管理職だけが閲覧できる設定にして、一般スタッフには日常業務に必要なフォルダだけを開放する、という管理が一つのダッシュボードで完結する。
個人情報の管理を記録に残せる
介護施設が扱うデータには、入居者の医療情報や家族連絡先など、個人情報保護法上の要配慮個人情報が含まれる。「誰が、いつ、どのファイルを開いたか」が記録されないまま運用していると、情報漏えいが起きたときに経路を追えない。
クラウドストレージのアクセスログ機能を使えば、ファイルのダウンロード・共有・削除の履歴が自動的に記録される。内部監査や行政調査に対応するためのエビデンスとして活用できる。
HStorageの機能と介護施設への適合性
アクセス権の細かい制御
HStorage(https://hstorage.io)では、フォルダ単位でアクセス権を設定できる。たとえば以下のような運用が可能だ。
residents/フォルダ:看護師・介護士のみ閲覧可management/フォルダ:施設長・副施設長のみ閲覧可training/フォルダ:全スタッフが閲覧可(書き込みは管理者のみ)
職員の入退職に合わせてアカウントを追加・削除するだけで、権限管理が完結する。個人情報を含むフォルダへのアクセスを特定のメンバーに限定することが、管理画面から数クリックで設定できる。
WebDAVでの既存ワークフローへの組み込み
HStorageはWebDAVに対応しているため、WindowsのエクスプローラーやMacのFinderから、クラウドストレージをネットワークドライブとして操作できる。特別なソフトウェアのインストールは不要で、職員がこれまで使ってきたファイル操作の感覚のまま移行できる。
NASをクラウドに置き換える際の移行ハードルが低い点も、介護現場には合っている。
有効期限付き共有リンク
家族への写真共有や、外部の医療機関へのファイル受け渡しには、有効期限とダウンロード回数を設定した共有リンクが使える。リンクを発行した後に期限を切ることができるため、「送ったファイルがいつまでも外部からアクセスできる状態になっている」という状況を防げる。

暗号化ストレージ
HStorageは保存データの暗号化を提供しており、外部からの不正アクセスに対するセキュリティを確保する。施設内の端末が盗難・紛失した場合でも、クラウド上のデータへのアクセスはアカウント認証が必要なため、データ漏えいのリスクを限定できる。
実際のフォルダ構成例
実際の運用に使えるフォルダ構成の例を示す。
facility/
residents/ ← 要介護認定書・ケアプラン・医療情報
A様/
B様/
daily_records/ ← 介護日誌・バイタル記録(PDF/CSV)
2026/
05/
shifts/ ← シフト表・勤務記録
2026-05/
training/ ← 研修資料・動画
infection_control/
emergency/
admin/ ← 法人向け書類・行政提出書類
フォルダ名は英字にしておくと、OSや端末を問わず文字化けが起きない。日本語フォルダ名はWindowsとMacで表示が崩れるケースがあるため、運用ルールとして英字に統一することを勧める。
個人情報保護法への対応
介護施設が扱う入居者情報は、個人情報保護法の「要配慮個人情報」に該当する。介護事業者はこれを適切に管理する法的義務を負い、漏えいが発生した際は個人情報保護委員会への報告が必要になる。
クラウドストレージでの管理ポイントは以下だ。
アクセス権の最小化:業務上必要な職員のみが閲覧できる設定にする。全員が全フォルダにアクセスできる状態は避ける。
ログの保管:誰がいつアクセスしたかのログを定期的に確認する。HStorageのアクセスログ機能を活用することで、外部監査・内部監査への対応が容易になる。
退職者のアカウント削除:職員が退職したら即日アカウントを無効化する運用ルールを設ける。退職後も元職員がファイルにアクセスできる状態は、情報漏えいの主要な原因の一つだ。
共有リンクの期限設定:外部への共有は有効期限付きリンクを使い、用件が終わったらリンクを削除する。
導入コストと試算
NASの維持費との比較で、クラウドストレージの経済的な優位を整理しておく。
| 比較項目 | NAS運用 | クラウドストレージ |
|---|---|---|
| 初期費用 | 10〜30万円(機器購入) | ほぼゼロ |
| 年間保守費 | 5〜15万円 | なし |
| 月額費用 | 電気代・保守契約費 | 容量に応じた定額 |
| 障害対応 | 自社または外部業者 | サービス側が担当 |
| 多拠点対応 | 各拠点にNASが必要 | 一か所で集中管理 |
NASを5年サイクルで更新している施設では、機器代・保守費・人的コストの合計がクラウドストレージの月額費用を大きく上回るケースが出てくる。
まとめ
介護・福祉施設のデータ管理で、NASと紙の組み合わせが限界を迎えている。クラウドストレージへの移行は、保守コストの削減だけでなく、個人情報管理の質を上げ、多拠点・多職種での情報共有を現実的なものにする。
HStorageは、アクセス権管理・WebDAV対応・有効期限付き共有リンク・アクセスログといった、介護施設の運用に直接使える機能を備えている。無料トライアルで実際の操作感を確認してから導入を判断できる。